難聴外来とは

音が聴こえにくい状態にあって、日常生活に支障をきたしている状態を難聴と言います。この場合、外耳、中耳、内耳、蝸牛神経などに何らかの異常をきたしていることが考えられます。なお、一口に難聴と言いましても、大きく3つのタイプ(伝音難聴、感音難聴、混合性難聴)に分類されます。これら難聴に関して対応するのが難聴外来です。

伝音難聴

外耳あるいは中耳で何らかの異常が起きてしまい、内耳に音が上手く伝わらないことで引き起こされている難聴を伝音難聴と言います。音は小さいながらも聞こえているほか、骨導聴力に関しては正常とされています。この場合、自らの話し声を大きく感じることから、しゃべるにあたっては小声になります。難聴の程度は70dB(中等症)ほどと言われています。また同難聴の原因については、中耳炎(急性、滲出性、真珠腫性)、耳硬化症、外耳道狭窄(閉塞)、鼓膜穿孔などの病気がきっかけになりやすいとされていますが、外耳道に耳垢や異物が詰まるといったことで発生することもあります。

感音難聴

内耳の中でも、主に蝸牛や聴神経などの部位で障害が発生し、音が小さく聞こえるだけでなく、ゆがんで聞こえるという訴えもあります。この場合、難聴の程度に関しては人それぞれで、例えば高度難聴や補聴器を使用しても聞き取ることが困難な重度難聴になるケースもあります。気導聴力のほか、骨導聴力についても低下しているようです。

なお感音難聴は内耳で起きる内耳性感音難聴と内耳よりも奥にある聴覚に関係する神経に異常が起きることで発生する後迷路性感音難聴に分けられます。前者では、突発性難聴、騒音性難聴、メニエール病、薬物性難聴、加齢性難聴などが含まれ、後者では、聴神経腫瘍などの腫瘍性疾患、多発性硬化症などが原因疾患として考えられています。

混合性難聴

上記の伝音難聴と感音難聴の両方がみられる難聴です。耳硬化症が進行している状態になると起きやすいなど、原因疾患はいくつかあります。

治療について

伝音難聴の原因が耳垢塞栓であれば、耳垢を薬品で溶かす、あるいは特殊な器具を使用するなどして除去していきます。原因疾患が特定していれば、その治療を優先し、さらに耳の洗浄、中耳に溜まった分泌液の除去なども行っていきます。

感音難聴では、その原因が急性難聴(突発性難聴、低音障害型感音難聴)であれば、放置を続けるとさらに聴力が低下していくので、速やかな対応が必要となります。加齢性難聴は、加齢に伴って起きる難聴なので改善させることは困難です。したがって、補聴器を使用するなどしていくことで聴力を補っていきます。

なお難聴を引き起こす原因疾患が特定しているのであれば、原疾患に対する治療が優先されます。

補聴器とは

加齢性難聴の方、薬物療法や手術療法などの治療を行っても音の聞こえにくさを改善することが難しいとされる方で、希望されるのであれば補聴器使用の対象となります。

補聴器とは小型化した拡声器のことです。マイクロフォンが搭載されていますが、これが拾った音は内蔵のアンプで増幅され、耳掛けや耳穴に装着するイヤフォンを通して、その音が出力されることで聴力を補っていくというものです。

希望される方には、まず補聴器の適応の有無を判定する検査(純音聴力検査などの聴覚機能検査)や語音聴力検査(言葉を聴きとれる力がどれくらいあるかを調べる)を行います。そのうえで、補聴器を使うことで聴力の改善が見込めると判断された場合に補聴器の試聴や調整をしていきます。これはフィッティングと呼ばれるもので、どのタイプの補聴器(耳掛け型、耳穴型 等)を選択するか、型取りといったことなども認定補聴器技能者立ち合いの元で行われていきます。

フィッティング終了後は、試聴用の補聴器を貸し出しいたします。その際に使い心地などを試していきます(1~2週間程度)。試聴期間終了後は、補聴の効果測定、再度の調整などを行っていき、さらに患者様に適応するとされる補聴器を検討いたします。その後は販売店でのご購入いただく流れとなります。